板金加工部品の部・金賞
中央職業能力開発協会会長賞


『平面WRボーダー』
明機産業株式会社 (大阪府堺市)
(写真1) 板厚3mmのSUS304をRG-250でC曲げし、次にWRマシンでWRと逆WRに曲げ、真中で長手方向に切断、溶接、研磨加工して上記の製品形状になる  
 
 
業高校を卒業後に起業し、以来長年にわたって長尺材の折り曲げを研鑚してきたのが明機産業の木村 朗社長。今回受賞した『平面WRボーダー』の開発に対しては、「顧客の苦労を見るたびに何とかしたい、という気持ちが平面WRボーダーに取り組む引き金となった」と述懐する。『平面WRボーダー』のWRとはダブルアールの略。長尺の平板をC形に曲げてさらに長手方向にアール曲げするもの。従来は、3次元曲げとかRR曲げとか名称が曖昧であったが、1993(平成5)年の商標取得を機に設計事務所にカタログを送り、工業新聞等に広告することによって名称の普遍化に努めた結果、現在では"WR"の名称も一般化している。
 
(写真2) 先端部の表   (写真3) 先端部の裏側
 

(写真4)WRによって加工された製品の施工例
  げ加工には冷間加工と熱間加工があり、従来ではパイプを高周波で熱して曲げた後、切断、焼き取りに工数をかけ、研磨は配管パイプのため表面を仕上げるのに多くの時間が必要であった。そこで木村社長は、焼き取り、研磨に要する時間を短縮するためには冷間加工しかないと決め、『平面WRボーダー』の開発に着手する。
 「どのような加工もそうですが、特に曲げ加工は"材料"の特性を知ったうえで、"金型の改良""機械の工夫""NC制御による情報のフィードバック"に取り組み、データを蓄積したうえで"機械・金型の改良"にと進化させることが必要です。いかなる加工も誤差が生じるとの前提に立ち、誤差に即応して解消させるシステム作りがポイントとなるのです。曲げとは何かを常に考え、工場で稼働しているシャーリング(M-6045/M-4045)やプレスブレーキ(RG-400/RG-250)にも独自の機構を付加・改造していますが、少量・単品の精度を上げ、短時間で製作することに主眼をおいています。私どもの曲げ技術を利用してお客様に儲けていただく、というのが私の願いです」(木村社長)


(写真5)WRによって加工された製品の施工例
  『平面WRボーダー』はローラーの3点支持曲げによって成形されており、1996(平成8) 年には、ローラーの動き、金型の形状、メカニズムについて特許を取得済みだ。  
 受賞製品は、まず板厚3mmのSUS304をRG-250でC曲げし、次にWRマシンでWRと逆WRに曲げ、真中で長手方向に切断して溶接、研磨加工したもの。
 「板曲げ加工はスプリングバックで曲げ角が変化しないように内部応力を残します。すべての曲げは完成された形状では時間経過に伴う変化は微小ですが、曲げ長手方向に切断したときは残留応力によって形状変化を起こし、ヒズミ、ネジレが発生します。今回の製品については、ヒズミの発生が押さえにくい溶接を最も見える部分にするため、前加工でのヒズミは避けなければならない。WR加工後、焼鈍するには時間と費用がかかるために何とか内部応力を残さない加工をと努力しました」と木村社長。その努力が製品に反映されており、加工のポイントになっているという。
 「今回の受賞により技術を認めていただき、これからの研鑚にも力が入ります。自社を"曲げのコンビニ" と位置付けて曲げに特化し、これからも多品種少量製品の精度向上、納期の短縮に精進して板金加工業界に貢献していきたい」と木村社長は今後の抱負を語っている。
 

明機産業株式会社
本 社 大阪府堺市戎島町4-27-1
TEL 072-221-2535
FAX 072-221-4730
創 業 1965(昭和40)年
設 立 1967(昭和42)年
代 表 者 木村 朗
資 本 金 1000万円
社 員 数 10名
事業内容  装飾金物、WR製品、曲げ加工製品販売
U R L http://www.sakaicci.or.jp/html/shouhin/wr.html
   
 
木村 朗 社長