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第15回優秀板金製品技能フェア優秀製品
機械的結合を主体とする組立品の部・銅賞


『無停電電源装置』
村上鈑金(京都府久御山町)

(写真1) 受賞製品は、無停電電源装置の筐体部分で10分の1スケールのミニチュア版

 

 


(写真2)

(写真3)
写真2〜3 上部と背面からみた製品

賞製品は同社の主力製品がモデル。無停電電源装置の筐体部分で10分の1スケールのミニチュア版だ。

 無停電電源装置とは停電でトラブルが発生した際の代替用電源で、24時間稼働のシステムやサーバー向けに電源を安定供給し、データの保護を可能とする装置。オフィスや病院などに設置されているものだ。長年培ってきた同社の優れた加工技術が評価され、最近になって受注が活発になってきた。現在では月100台ほどを製作し、"稼ぎ頭"になっている。

 そのミニチュア版をつくったのは取引先向けの宣伝ツールとなると見込んでのこと。無停電電源装置の筐体構造を分かりやすく説明するのにも活用できると考えたためだ。したがって出品目的で製作したものではないものの、取引先の間で評判がよく、出来栄えにも満足していたことから、技能フェアへの出品に踏み切った。それがいきなり入賞の快挙となった。

 「初出品での銅賞。正直、驚きました。実作に当たった社員も思ってもみなかった受賞に大変喜んでいます」(村上政美代表)

 製品のサイズは280×215×115mm。材質は酸洗で板厚1.6mm、要求精度±0.2〜0.3mm。加工時間は展開も含めて400分。



(写真4)
(写真5)
写真4〜5  主にビス止めによって構造体にしている
 
作に当たってはもちろん実物の基本構造をそっくりそのまま再現することを念頭に置いた。主な作業手順は以下のとおり。

@底板、天井、側面、後面に使用する各フレーム板とカバー、加えてドア板や中に取り付ける棚板など構成部品およそ30点を多数個取りして揃える。
Aそれぞれにビス止め用のネジ穴を開け、ドアと背面のルーバーは追い抜き加工する。
Bドアや棚などに曲げ加工を施す。
C底板から順に側面、後面という具合にフレーム板とカバーを合わせてビス止めしながら組み立てていく。
D天井部分など要所部分にはビス止めのほか、強度を持たせるためアルゴン溶接を施す。
E棚を中に取り付けてドアをビス止めして完成。
 接合部分はほとんどビス止めで、溶接は必要最少限に止めている。歪みなどの影響で外観品質を損なうのを避けるためだ。

「技術的なセールスポイントをアピールしたいというのもあって外観だけではなく、中の細かい部分までできるだけ忠実に再現するのに腐心しました。結局はそうした行き届いた配慮が製品に反映されたことが受賞の最大の理由だと思います。それにPR用に実物のミニチュア版をつくろうというユニークな発想も評価されたのではないでしょうか」(村上代表)

 そこに同社のモノづくりに対するこだわりが見える。
「極端な話、与えられた図面どおりつくるのは誰でもできます。大切なのはそこに自分の発想やアイデアを必ず盛り込むことです。創意工夫により低コストでいいモノができれば、結果的に得意先も喜んでくれることを社員にも常に言い聞かせています」(村上代表)




■村上鈑金
本 社

京都府久世郡久御山町市田新珠城177
TEL 0774-43-1756

創業 1984(昭和59)年1月
代 表 者 村上 政美
社 員 数 10名
事業内容

電機部品・電車部品・照明関係などの精密板金加工


工場で働く社員の方々と村上代表(前列中央)