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第16回優秀板金製品技能フェア優秀製品
厚生労働大臣賞/微細加工部品の部・金賞


『フィルター』
株式会社伊藤製作所(京都市山科区)

(写真1) 受賞製品は板厚0.15mmのりん青銅を使い、中央円形(φ12mm)の中にφ0.2mmの小径穴が1000個以上パンチングされている

 

 


(写真2)
パンチングの穴間ピッチはわずか0.1mm

金加工における微細加工分野の技術進展が著しい。汎用板金から精密板金加工へ、そしていま電子部品を主なターゲットとして"超精密板金加工"の分野が確立し、需要が広がり始めている。今回の受賞製品はその流れを象徴するものとして特に注目を集め、意義あるものとなった。

 受賞製品は、板厚0.15mmのりん青銅を使い、中央円形(φ12mm)の中にφ0.2mmの小径穴が1000個以上パンチングされているのが大きな特徴。穴間ピッチは0.1mm、外枠となるリブと中央円を結ぶ4本の細線の幅径もそれぞれ0.1mm。総合精度0.02mmの微細部品である。



(写真3)

(写真4)

(写真5)

(写真6)
写真3〜6 MERC TypeMによる微細部品の加工事例
 
ランク材から円内の小径穴をパンチングし、ニブリングで4カ所の窓抜きをして製品形状にするまですべてを超高精度電子部品対応機MERC TypeMで加工する手法をとった。

 MERC TypeMは0.1〜0.3mmまでの極薄板に対応し、穴間ピッチ10μmとこれまでのパンチングプレスの常識を覆すミクロンオーダーの精度加工を実現。上下10mmまでの成形も可能とする。昨年(平成15年)3月に導入したものだ。

 「ミクロンオーダーの世界で加工が進むため、機械のクセをつかみ、材料の伸びをまず把握しなければいけない。加工時に材料ソリを出さないことも精度維持のポイントになり、個数取りの数と加工順序の決定も重要です。金型の組み合わせも非常に難しいですね。精度、効率に即影響してきます。カス上がりがでないようにプログラムで工夫する必要もある。いい換えればこれらはすべてノウハウなのです。導入以来積みかさねてきたノウハウがあって初めて今回受賞した製品加工が可能になったと考えています。先行してノウハウを積み上げることの重要性を改めて認識しているところです」(松宮正和社長)

 加えて松宮社長は、微細加工をスムーズに立ち上げたのも、従来から培ってきた高度の抜き曲げ技術を活用したものであり、精密板金加工を展開してきた同社技術の集大成であることを強調する。

藤製作所は板金加工に加えてメッキ、塗装、配線組立の内製機能を持ち、付加価値生産で競争力を付けてきた。微細加工分野の進出はその経営戦略の延長線上にある。パンチングで微細加工が可能になれば、少量品の納期対応でプレス加工やエッチングに対して圧倒的に優位に立つ。MERC TypeMも需要拡大を視野に入れての導入であり、いち早い導入はノウハウの確立を先行させるためであった。精度測定も三次元測定機で万全の対応をとり、加工材質もステンレス、アルミ、しんちゅう、銅などに加えて、ビニールやフィルムなどに拡大する予定。電子部品だけでなく装飾品などもターゲットにしていきたいとしている。



■株式会社伊藤製作所
本 社

京都市山科区栗栖野狐塚18-5
TEL 075-593-3600

創業 1965(昭和40)年5月
設立 1969(昭和44)年7月
代 表 者 松宮 正和
資本金 5000万円
社 員 数 62名
事業内容 電子部品の微細加工、半導体設備、医療機器設備などの精密板金加工および製缶・溶接加工、表面処理加工、電子機器組立、シルク印刷
URL http://www.itoh-ss.co.jp
E-mail matsumiya@itoh-ss.co.jp

松宮正和社長