(写真3)
(写真4)
バックゲージも可動する
(写真5)
バーペダルを手で押すと下部テーブルが上昇し、加工もできる
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レーザー加工技術を駆使して製品化されている。外形抜き、スリット、細穴、マーキング、文字抜きなどブランク加工はすべてレーザー加工機Quattroによって行った。レーザー切断技術のノウハウを駆使した微細切断である。素材はSUS304、板厚は躯体部の6.0mmから本体正面カバーにつかった0.5mmまでの範囲。計110点の部材で構成されている。
ステンレスの素材感を活かし、秀麗な外観を維持するために、ビス、ボルトを多用する構造体をとった。溶接によるひずみ、打痕をさけるためだ。そして、自社で稼働するRG-80を実測し、細部にわたって1/10のスケールで縮小・再現しているのが大きな特徴である。それは、構造、機構(機械の動き)の両面にわたっており、機械特有の機能美を再現する有効な要因ともなった。
機械フロント上部に貼られている能力表もマーキングによって忠実に再現されており、フロント上部とそれを支える背後の躯体との結合も、本機と同じ機械的な手法をとった。フロントにビス止めされたカバーを外せば、内部が確認でき、フロントを取り外すこともできる。本機とまったく同じである。中間板も同数を配置し、金型の装着、取り外しも可能だ。
秀逸なのはバーペダルを手で押せば、てこの原理で下部テーブルが上昇して、実際に加工が行えること。上下型の芯出しも調整済みだ。バックゲージの可動も自在にできる。もちろんペンダントタイプの操作ボックスも左右に振る。心にくいまでの再現性である。
石田鉄工は、大手電機メーカーの試作部門で技術を磨いた石田光夫社長が独立して創業。28年の社歴を有する。そして実作を担当したのが石田晃一専務だ。
「受賞製品の製作を通して、改めてレーザー加工の可能性を発見しました。この経験を活かして、さらに単品で難加工の製品加工に特化して付加価値を上げていきたい」と石田専務。1階と地下に作業スペースをもつ都市型工場だが、若き感性が板金加工の新たな世界を切り開こうとしている。
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