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第17回優秀板金製品技能フェア優秀製品
日刊工業新聞社賞・板金加工部品の部金賞


『フレーム』
プレコ技研工業株式会社(広島県福山市)

絞りと打ち出し部は積層簡易型で対応。受賞製品は板金加工で培った積層型のノウハウとプレス絞り型の知識・経験の融合により生まれた。
 
最小内寸法0.4mmと立ち上がりの少ない曲げ加工を実現した。
意と工夫で短期に高精度の成形品を生み出すのが板金加工。その板金加工の特性を最大限に活かしたのが受賞製品だ。順送で数工程を要するプレス総型と同等の成形形状をつくりだしている。

 第一のポイントは絞りと打ち出しが組み込まれていること。積層簡易型で対応した。板金加工で培った積層型のノウハウとプレス絞り型の知識・経験を融合させた成果である。簡易型で5/100mmの精度を確保しているのも大きな特長だ。絞り・打ち出し加工後、レーザー加工機でトリミングとブランク加工を行い曲げに入るが、曲げは標準型では不可能な形状が多いために手持ちの金型を削って加工したこと、さらに最小で内寸法0.4mmと立ち上がりの少ない曲げ加工をクリアーしたことなどが第二のポイント。内寸法0.4mmの立ち上げはV溝のセンターからずらしてパンチ先端0.2mmの金型でオフセット曲げの手法をとった。

 因みに、製品寸法は35×130 mm、材質・板厚は0.4mmのSECCである。

日南田課長の板金工房。金型、治具の整理整頓が行き届いている。
レコ技研は経験者を採らない。真っ白なカンバスを染め上げるように社員を育て上げていく。その手法は徹底したOJTだ。トライして失敗してまたトライする。「不良を宝にするかスクラップにするか、それは本人次第。現場は真剣勝負の場」と小林真一社長の姿勢は厳しい。「悩んだ数だけ伸びるスピードがアップする。意識づけ、動機づけのきっかけは会社が提供するが、それを活用するか否かは本人次第、ライバルは自分自身」とも小林社長は語る。そこに創造性の高いヒトづくりの要諦があるようだ。

 受賞製品を製作した日南田康登課長も小林門下生のひとり。37歳の板金エンジニアだ。「日常的な業務によって生み出した製品加工が客観的に評価されたことは大きな励みになる。日頃当たり前のようにアイディアを出しながら加工している自社の技術が“実はすごいレベルにある”と再認識できたことの意義は大きい」と語る。“日南田課長専用”の汎用プレスブレーキの周囲は自分で手を加えた金型、効率よくかつ正確に曲げ作業をするための治具が整然と配置され工房の雰囲気が漂う。創意工夫を全社員が作業の中から積極的に提案する社風にモノづくりを通してのヒトづくりと板金加工への強い思い入れが伝わってくる。

 最後に「3年過ぎると自分の給料を稼ぐ。5年を過ぎると次の世代の給料を稼ぐ」という小林社長の言葉を重く受け止めたい。ヒトづくりは一朝一夕ではできない。




■プレコ技研工業株式会社
本  社

広島県福山市箕島町6280-15
TEL 084-920-3320

設立 1970(昭和45)年
代 表 者 小林 真一
従業員数 27名
事業内容 精密板金加工、CO2レーザー加工、タレットパンチプレス加工、精密機械加工、コンピューターソフトウェアの研究および開発
URL http://www.pleco.co.jp/


日南田康登課長