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第17回優秀板金製品技能フェア優秀製品
造形を主眼とする組立品の部金賞


『ステンレス製 山鹿灯籠』
株式会社丸山ステンレス工業(熊本県山鹿市)

精緻な紙細工として有名な山鹿灯籠が見事ステンレス製で表現された。その仕上がりの良さが受賞の大きなポイントとなった。
 
金賞受賞は地元新聞にも大きく取り上げられ、同社のアピールになった。
本県の伝統工芸品である山鹿灯籠。本来は和紙とのりだけでつくられるものをステンレスで再現したのが受賞製品だ。自社技術をアピールするための試作品として製作した。受賞製品を見ると、仕上がりの良さから本物に優るとも劣らない華麗さが何よりも目を引く。そして、この裏には製作上の工夫がいくつもあげられる。

 まずは展開。本物を分解し、その仕組みを確認した上で、ステンレスで製作するための部品構成を検討。本物に限りなく近づけるため、熟慮を重ねて展開していった。実際に要した部品は133点におよぶ。

 次に組み立てでは溶接がポイントになっている。本物が少量ののりでつくられることもあって、溶接箇所は極力少なくし、かつ見えないように工夫を施した。灯籠の先端部では上と下の2箇所を中から点付け溶接している。

 そして組み立て後はバフ研磨で光沢を出した。さらに内部に電飾を入れ、本物同様に明かりを灯すことができる。これも華麗さを演出する手段になっている。

 ちなみに、製品寸法はW290×H370×D290mm。本物の山鹿灯籠とほぼ同サイズである。材質はSUS304で、板厚は0.5、1、3、6、9mmの5種類を使用した。

 フェアの金賞受賞は地元の新聞にも大きく掲載され、また受賞製品が役所や学校に展示されるなど、地域の人々に対して業務内容や自社技術を広くアピールすることができた。また、このことがモノづくりの楽しさを知ってもらうきっかけにもなる。そして、今後の人材の採用活動にもプラスに働くことが期待されている。

受賞製品の先端(擬宝珠)と足の部分。溶接を極力少なく、かつ見えないように工夫することで本物の繊細・優美さが表現されている。
トづくりにおいて丸山ステンレス工業が注力しているのが技能者の育成だ。社員の約7割がステンレス溶接技術検定の有資格者であり、また他にも社内資格をつくり、技能者の育成に取り組んでいる。

 「基本がまず重要です。そのために新人は上司や先輩について、技術・技能を学んでもらっています」(丸山良博社長)

 もちろん技術・技能は溶接に止まらず、曲げ、仕上げなどすべての工程に精通することを目指す。1人の社員が1枚の図面から最終製品まで責任をもって仕上げられる多能工が目標である。まずは現場にて技術・技能を磨く。これが同社の方針となっている。

 「展開・設計の担当者も現場経験者です。現場をよく理解しているからこそ、加工を考慮した最適な展開ができます。今回の受賞製品もこの担当者の力に負うところが大きかった」と、組み立てを担当した丸山社長は語る。

 社長就任1年目にして得た今回の栄誉。丸山社長はこれを機会にさらに技術・技能を磨き、再び受賞できる製品をつくってみたいと意欲を示している。




■株式会社丸山ステンレス工業
本  社

熊本県山鹿市鹿本町来民1017-2
TEL.0968-46-3234

創業 1973(昭和48)年
代 表 者 丸山 良博
従業員数 26名
事業内容 精密板金加工、レーザー加工、省力機械部品、建築金物、厨房機器等の製作
URL http://www.maruyama-sk.co.jp


丸山良博社長