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第19回優秀板金製品技能フェア優秀製品
中央職業能力開発協会会長賞
溶接を主体とする組立品の部・金賞



『IH配膳車ミニチュア製品』
株式会社太田治工

 
 
岩本 博社長

製作にあたり苦労の多かった扉部分(上)。天板にはレーザにより社名と製品名が記されている(下)
わが社もフェアに挑戦

 同業者の受賞に刺激を受け、わが社もという思いで初めて出品しました。その思いは社員も強く抱いたようで、シートメタル課のメンバーが話し合い、製品や加工方法を決めました。これまで時間が取れないと出品をためらっていた社員が就業時間外も含め、取り組んだ成果が金賞、中央職業能力開発協会会長賞のダブル受賞となり、とてもうれしく思っています。

 製品は実物の約1/7のスケールです。ミニチュアのため曲げ加工など寸法の精度出しに苦労しましたが、最新のNTベンダーを活用することで、高精度な製品をつくり上げることができました。

 そして一番アピールしたい点は、扉部分の薄板(0.7mm)加工です。特に溶接には担当社員の経験が生かされ、ひずみのほとんどない仕上がりになっています。全周溶接ですが、ある程度溶接長を区切り、さらに溶接順序にも考慮し、ひずみを出さないよう工夫しています。これにより扉が上手い具合に開閉できるようになっています。

 また溶接後の研磨仕上げも苦労した点です。どうしてもコーナー部にはダレが生じてしまいます。ダレを出さないよう何度かトライして、コーナー部のストレート感を出しました。

 こうしたあらゆる面の平坦度や天板部のR加工、上蓋と下蓋の均等な合わせなどが評価されたのだと思います。

「受賞がこれからの技能・技術向上への励みになりました」(五十木課長=左と岡田班長)
フェア出品でヒトづくり

 一番の受賞効果は、外部の方々に認められたという点です。フェアは同業者や有識者など、多くの方々により審査が行われています。その中での受賞は社員にとっても大きな自信になりますし、会社にとっても良いPRです。出品すれば自分たちの技能・技術がどれくらいのレベルにあるかを知ることができる。これも大きな効果です。

 社員からは次回も出品したいとの声が上がっています。今度は若手社員にチャレンジさせるようです。溶接などの技能伝承と同様、まずは体験させることが重要です。出品製品を考え、自らつくり、評価を受けてみる。フェアもヒトづくりにつながっています。


製品の

ポイント

扉部分の薄板溶接
ひずみを出さないよう、
溶接長・順序を工夫
 
扉コーナー部の仕上がり
ダレないよう注意を払った研磨仕上げ




寸  法
W430×H160×D285mm
要求精度
±0.5mm
加工時間
1320分
生産形態
試作品
材  質
SUS430
板  厚
0.7mm、1mm
部品点数
70点
 
会社概要
本  社

群馬県邑楽郡邑楽町藤川208
TEL.0276-88-7531

創  業 1970(昭和45)年
代表者 岩本 博
社員数 150名
事業内容 スーパーショーケース、食品機器および温・冷配膳車の製造・販売
URL http://www.otajiko.co.jp
  群馬県シートメタル工業会会長
製作を担当した生産部シートメタル課の五十木和弘課長と岡田齢裕班長、中川和明さん(左から)