技を究める

メニュー優秀板金製品技能フェアホームページ |

 

第19回優秀板金製品技能フェア優秀製品
板金加工部品の部・金賞


『受け皿(医療品)』
滋賀産業株式会社

 
 
「社員には常に『モノに魂を込めてつくりなさい』と言っています」(横江社長)。
底面部はウレタンのゴム型による絞り加工。微妙な傾斜で水が均等に流れるようになっている。
経験による技能・技術の結晶

 取引先との関係もあり、これまで出品は控えていたのですが、工業会の会長として、やはり1回は出品した方が良いだろうと出品を決めました。しかし思いもかけず金賞受賞となり、驚きとともに、同業他社の方々に評価いただき、とてもうれしく思っています。

 受賞製品は医療用の洗浄装置の受け皿です。この製品もコスト・品質・納期と厳しい要求がありました。お客さまのニーズに応えるために、まず工夫した点が金型レスでの加工です。コストのかかる金属ではなく、ウレタンによるゴム型をつくりました。

 排水口がどの位置でも一面のゴム型で絞り加工して微妙な傾斜を出した点も苦労した点です。お客さまから水が均等に流れることを条件付けられていたので、何度か試行錯誤して、満足のいく傾斜ができ上がりました。またコーナーの立ち上がりと溶接、そして溶接後の研磨もとてもきれいに仕上がったと自負しています。

 ウレタンを使った絞り加工や溶接など、すべて私たちがこれまで経験してきた技能・技術の結晶です。これらのアナログ的なものがあって、初めてこれからのデジタル化が生きてくる。今そういう思いを強く抱いています。

コーナーの立ち上がりがきちっとできている、溶接・研磨がきれいにできているなど、高い評価を受けた。
魂を込めたモノづくりを伝承

 今回の受賞効果は、まず営業の格好のPR材料になることです。お客さまに当社の技能・技術を確かにアピールできます。また社内的には社員の自信につながり、技能・技術のさらなる向上を目指そうという気持ちの変化も見出すことができました。

 フェアで特に感動したのが、学生作品の質の高さです。私たちのように利益を考えるのではなく、純粋に良いモノをつくりたい、そういう気持ちが伝わってきました。魂を込めたモノづくり≠もっと若者に伝えていきたい。広く県内の高校生にもモノづくりの素晴らしさを教えたい。これが私の社会への恩返しだと思っています。


製品の

ポイント

金型レスの絞り加工
ウレタンのゴム型によりコスト削減を実現
 
全体的な仕上がり精度
コーナーの立ち上がり、溶接、研磨など見栄えの良さ




寸  法
W412×H99×D295mm
要求精度
±0.1mm
加工時間
200分/個(5個加工)
生産形態
試作品
材  質
SUS304
板  厚
1mm
部品点数
4点
 
会社概要
本  社

滋賀県草津市矢倉2-2-13
TEL.077-562-3518

創  業 1908(明治41)年
代表者 横江禮 二郎
社員数 79名
事業内容 家電・OA・半導体製造・自動車・自販機・医療機器等の精密板金、プレス加工、曲げ加工、溶接、組立
E-mail shigasan@skyblue.ocn.ne.jp
横江禮二郎社長(右)と製造本部・片石英吉取締役部長