IT活用インタビュー | |
4月に「標茶(しべちゃ)CADセンター」を オープン、CAD工程をいっそう強化 |
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写真上:「標茶CADセンター」完成予想図 左下:浦安本社・工場 右下:千葉営業所・八街工場 |
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同社は1962年10月、東京都墨田区で現会長である福井賢氏が福井シャーリングを創業。1967年12月に福井シャーリング(株)に株式改組。1985年4月にはCO2レーザマシンを業界に先駆けて導入、鋼板の精密切断を開始した。1992年、創業30周年の記念事業として社名を現在の(株)インスメタルに変更、1993年にはレーザ切断専門工場を目指して千葉県八街市沖に千葉営業所・八街工場を建設した。1999年11月には本社・工場を現在の浦安市内に移転、2003年4月には神奈川県厚木市に神奈川営業所を開設した。 現在は鋼材加工業者として各種鋼板の切断加工・販売を行う一方、八街工場には3次元レーザマシンを備え、大型ダクト、建築関係の構造物、大径の丸パイプ、コラム、角パイプ、昇降機用部品、角丸ホッパーといった製品の加工を行っている。 |
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多品種少量−儲からない仕事を儲かる仕事に | ||
「はじめから細かい仕事を目指していたわけではありません。7〜8年前までは、本当は大きい仕事がほしかった。でも受注できませんでした。当時は大手が入り込んできていて、当社には設備もなかったし、場所もなかった。仕事量を確保しようとすると、自然と歩留り率の悪い細かい仕事ばかりがたくさん集まってしまいました。当然、儲かりません。 それを、ITを駆使して儲かるようにしていきました。まとまった仕事も必要ですが、そういう儲からないモノ、小さいモノ、難しいモノをインスメタルにお任せください、というスタイルで仕事をかき集めました。儲からない仕事に儲かる仕組みを導入して、うまく使いこなす。それが現在の当社のスタイルとなり、利益を生み出しています」と福井英人社長は語る。 「多品種少量生産の大きなメリットとして、値段を下げられにくいという点があります」と福井賢会長は語る。「ロットの大きい仕事やリピート品はすぐに発注元からコストダウンを要請されますが、多品種少量生産の場合は納期さえ守れば値段を下げろとはなかなか言われない。ですから当社の場合、標準価格以下に値切られるケースはほとんどありません」。このように同社では、加工業者への負担にばかり目が行きがちな多品種少量生産に、高付加価値というメリットを見出している。 |
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2000年の転機、「WILL受注・出荷モジュール+M」を導入 | ||
儲からない仕事を儲かる仕事に。その転機となったのは2000年、ケーブルソフトウェア社製の生産管理システム「WILL受注・出荷モジュール+M」の導入だった。 2000年まで、同社の伝票はすべて手書きだった。営業も、事務所内での手作業が多くて外回りができない。事務処理をもっと合理化できないかと考え、WILLを導入した。 「最大の課題は見積りでした」と福井啓二専務は語る。「WILLは板金加工を前提にしていますが、当社には鋼材加工業者という側面もあり、材料の販売や流通の中間加工もやっています。WILLは加工賃をキロ単価で計算する鋼材加工業務の見積りには対応していませんでしたが、なんとか当社仕様にカスタマイズしてもらうことができました」。 「当時の見積りは、担当者の勘に頼っている部分が大きかったので、社員間の共有や引き継ぎが難しい。それを数値化して統一した係数で管理できるようにしたかったのです」(福井社長)。 2003年のISO 9001:2000取得も情報化を後押しした。ISOを取得するには、品質やトレーサビリティの管理手法を確立する必要がある。クレームも減らしたかった。規模が大きくなり、社員も増え、1日に数百点を流しているので、ヒトの手による管理には限界があった。こうして見積りの仕組みができるとWILLの活用範囲を拡げ、受注・発注の管理、バーコード付きの作業指示書の発行、バーコードを読み込んで吸い上げる進捗の管理、経理システムとの連携と、ひとつひとつ実現していった。 |
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3事業所をVPNでネットワーク化 | ||
「離れた事業所をVPNでつなぐ計画はWILLを導入した当初からありました。しかしすべてを一度にはできませんから、見積りから始めて、ひとつずつ実現していきました。これまでは事業所同士で電話やFAXで問い合わせたり、顧客情報が更新されるたびに連絡を取り合ってデータの同期を図ったりしていましたが、一元化によってそうした手間がなくなりました」。 次の課題はマシン稼働管理システムvFactoryとWILLとの連携。vFactory単体でもマシンの稼働状況や機械特性の“見える化”には貢献している。しかし福井社長は、vFactoryの利用価値は単なる稼働状況の確認に留まらず、WILLと連携させ、マシン側から自動的に進捗を吸い上げ、生産管理を合理化できる点にあると考えている。 |
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CAD工程の強化を推進 | ||
「当社にはLC-3015F1NT+AS-3015F1( 本社工場) やFO-3015NT+AS-3015FO(同)をはじめ、本社工場と八街工場、合わせて8台のレーザマシンがありますが、新しくなるに連れて加工スピードはどんどん向上しています。昨年11月に導入したLC-3015F1NTもとにかく速くて、加工がすぐに終わってしまい、プログラムが追い付きません。大量の仕事をこなすにはCADによるプログラム工程を強化する必要があります。3年くらい前から少しずつCADの人数を増やしており、現在14名、最終的には20名くらいにしたいと考えています」と福井社長は語る。 |
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「標茶(しべちゃ)CADセンター」設立計画 | ||
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営業ツールとしての3次元CADに意欲 | ||
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