IT活用インタビュー | |
“データの一元管理”のさらなる推進で飛躍を目指す |
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昨年7月に移転した新工場 |
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昨年7月に生産能力の拡大と事業を次世代に継承する環境を整えるために甲府市内から新工場へ移転した。ITを駆使した“データの一元管理”と“情報開示”を武器に精密板金加工を手掛ける同社の取り組みを紹介する。
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アクティブホームページサービスで“情報開示”を決断 | |||
1つは資材担当者向けで、IDとパスワードを入力しなければ閲覧できない発注元専用のページ。受発注情報や工程進捗情報、発注時の負荷の状況や納品の状況などを把握することができる。 もう1つは、設計者などの技術担当者向けで、誰でも閲覧することができるページ。同社が保有する金型情報や、加工設備による加工能力や加工限界といった技術情報を閲覧することができ、設計者にとっては企画・設計段階にある新製品の製造性を事前に確認することができる。 同サービスを運用しているのはまだ数社のみで、同社は業界に先駆けて取り入れた先行モデル企業となる。 アクティブホームページサービスの詳しいご案内はこちらから |
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“情報開示”は発注元の信頼につながる | |||
「単なる宣伝ツールとしてのHPではなく、情報開示ツールとしてのHPに魅力を感じました。ただ、進捗情報を開示するとお客さまへのサービスは向上しますが、公開する以上は特に納期面で責任が発生します。しかし、覚悟を決めて臨めば、見積りから出荷に至るまでの一連のモノと情報の流れを管理する体制をすでに確立していますので、お客さまの求めるQ,C,Dにも対応できると考えました。情報開示は、お客さまの信頼につながります。お客さまの“自社” の工場と言ってもらえるくらい深く入り込みたいと考えています」と込山社長は自信を滲ませる。 |
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WILL受注・出荷モジュール導入により“データの一元化”に着手 | |||
2001年にケーブルソフトウェア社の生産管理システムWILL受注・出荷モジュール+Mを導入したのが転機となった。WILLの導入により、受発注、在庫、工程進捗、納期、出荷の管理、注文書・納品書・請求書・作業指示書の発行といった事務処理を、極力ヒトを介在させずに行うことができるようになった。 オプションで導入したWILL見積りモジュール+LDによる引合い・見 積りの処理から始め、EDIで自動受信した確定発注情報を山積みデータに落とし、納期に基づいた差し立て処理を円滑に行う。バーコード付きの作業指示書を発行し、オペレーターがバーコードリーダーで読み取ることで着手・完了情報の管理をリアルタイムで行うことができる。また、中間在庫・製品在庫を一元管理 することで、モノを探すというムダな時間削減も達成した。 |
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プログラム工程もIT化を推進 | |||
た展開図データは、曲げ加工データ作成の外段取り化を実現する 曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bendが自動的に読み取り、曲げ加工可否を判断。“可”と判断されたものは全自動で曲げ加工データを作成、“不可”と判断されたもののみプログラマーが作成する。リピート品であれば、SDDから過去の加工情報を取り出し、指示書を発行して、すぐに加工を開始することができるようになった。 |
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vFactoryにより進捗状況を把握 | |||
取り組み始めてから約5年、2006年には“データの一元管理”はほぼ実現した。ITを駆使し、段取りや事務処理といった工数を徹底して削減したことで、間接要員は必要最少人員で足りるようになった。 |
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数字の根拠を見せる見積りづくりが“情報開示”につながった | |||
ITによる“データの一元管理”からアクティブホームページサービスの運用による“ 情報開示”へ。両者を結び付けたのは、見積りだった。 「見積りはモノをつくるのと同じくらい真剣に取り組んでいます」と 込山社長は語る。「考えなしに安売りした会社は、一瞬は賑わいますが、その先はありません。大切なのは単純な安さではなく、数字の中身が見えること。数字の根拠を説明し、理解してもらえれば、『高い』『高くない』の水かけ論を早々と切り上げ、設計変更や材料変更によってコストの問題を解決しようという前向きな展開になります。当社ではWILLの活用により過去の納入実績はもちろん、材料費・加工費・表面処理費といった見積り金額の内訳まで明確に把握していますし、見積りを提出する際にはお客さまに情報開示しています。 まだまだ数字の中身が分からない見積りを出しているところがほとんどという中にあって、こうした情報開示はコスト管理を徹底してきた当社の強みだと考えています」。 |
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EMLの導入で約1/3のコスト削減も | |||
「導入の目的はコスト削減の一言に尽きます」と込山社長は語る。「これまで、1つの加工製品の中に1カ所でもレーザマシンでなければできない加工が混ざっていれば、それ以外の部分もすべてレーザマシンで加工していました。パンチングマシンで加工して、その1カ所だけをレーザで加工するとなると横持ち作業が発生し、複合加工による誤差が発生するリスクもあります。EMLの導入後、レーザマシンによる加工の割合が下がったことで加工費を抑えられ、単価2,800円の製品が1,000円を切ったというケースもありました。製品の性質やレーザ加工とパンチング加工の割合によりますが、場合によっては約1/3のコスト削減が可能になるということが実証されました。これだけのコスト差は他で吸 収できるようなものではなく、EMLを導入しなければ受注競争に負けてしまうという危機感を持ちました」。 “データの一元管理”、“情報管理”に加えて設備面でも充実を図り、不況下にあっても攻めの姿勢を崩さない。 |
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