IT活用インタビュー | |
VPNを通じて本社から分工場を遠隔管理 アクティブホームページによる生産管理情報の公開にも意欲 |
||||||||||||||||||||||||||||
毎日終業後にvFactory の「デジタル稼働日報」で稼働状況を確認 |
|
|
||
現在、豊嶋利夫社長と子息の豊嶋大輔専務は五反田の本社で常時活動し、「Sea Side Factory」に対する作業指示・進捗管理・各マシンの稼働状況の確認などはVPNを通じて遠隔管理を行っている。 創業社長である豊嶋社長は、80歳という高齢にもかかわらず、自らの手でPCを操作・活用するバイタリティーの持ち主。何よりも従業員を大事にし、この難局を自分が社長の代のうちに乗り切ろうと考えている。子息の豊嶋専務は、設備についての相談に留まらず、社内におけるITの活用を担当し、実務全般を切り盛りしている。 |
||
VPNを通じて加工データを呼び出す | ||
取引のある得意先は20社前後。そのうち電源関連機器、通信機器、業務用光学機器などを取り扱う主要2社で売上の80%近くを占める。主要2社のうちの1社は2次元のDXFデータをメールで送付してくるので、AP100で曲げ線入りの展開図、立体姿図を作成、展開図検証を実行して、作成した展開図と立体姿図のデータをSDDに記録する。 もう1社の得意先はいち早くSolidWorksによる3次元CADの運用に切り替えたため、受けCADとしてSheetWorksを導入した。発注元は紙三面図、SolidWorksの3次元製品モデルを送付してくるが、外形のみのモデルで加工情報を持っていない。まずは3次元製品モデルを画面上で即座にバラシ、「ここは溶接、ここは曲げ」といった板金属性を再定義して展開作業を行う。作成した展開図と板金属性付き3次元製品モデルのデータは、SDDに記録される。 SDDに記録された展開図データを曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bendが自動で呼び出して曲げ加工可否を行い、“可”と判断されたものは自動で曲げデータを作成し、再びSDDに記録する。自動で曲げデータを作成するプラン率は95%となっている。 |
||
vFactoryで遠隔管理 | ||
|
||
営業ツールとしてのSheetWorksの活用にも意欲 | ||
「現在、AP100は展開作業に使用し、SheetWorksは受けCADとして活用しています。当社は設計のノウハウを持っていませんが、当社で製品モデルを設計し、コストダウンを実現するVA/VE提案ができるようになれば、発注元の信頼獲得につながりますし、能力向上にもつながります。今後は設計部門を新設し、SheetWorksを活用していくことも検討しています」と豊嶋専務は語る。 |
||
アクティブホームページサービスに寄せる期待 | ||
遠隔地間を結ぶツールとしてのVPNやインターネットの有効性を実感した同社は、今年2月からアマダアイリンクサービスが提供するアクティブホームページサービスにも期待を寄せる。 同サービスは、発注元にモノづくりに関わる情報や注文物件の生産状況を公開することができるホームページサービス。発注元へのサービス向上、イメージアップ、発注元からの問い合わせ工数の削減、正確で抜け・漏れのないコミュニケーションの確保により、発注元と、より強固な信頼関係を築くことが可能となる。 生産管理システムAPC21またはWILL受注・出荷モジュール+Mが管理している生産状況の情報(受注・手配・完成・出荷済)を各発注元向けの専用ページに自動公開。vFactoryと連携させれば、作業指示書からバーコードを読み込む手間を省き、ネットワーク対応マシンから部品単位で着手・完了情報を生産管理システムにフィードバック、専用ページへの自動公開までヒトの手を介在させずに一気に行うことができる。 発注元の資材担当者はIDとパスワードを入力して専用ページを閲覧し、受発注情報や工程進捗情報、発注時の負荷の状況や納品の状況などをいつでも把握することができる。受注処理は終わったのか、工場への生産指示は終わったのか、すでにできあがったのか、出荷したのか、そうした現在の状況を発注元が確認し、納期の差し立て順序変更のリクエストを出すこともできる。 また、設計者などの技術担当者向けのページも用意されており、保有金型の情報や、加工設備による加工能力や加工限界といった技術情報を外部から閲覧し、設計者にとっては企画・設計段階にある新製品の製造性を事前に確認することができる。 ★アクティブホームページサービスの詳しいご案内はこちらから |
||
親会社にとっての“自社工場”に | ||
「仕事がなくなることを怖れる前に、仕事を取ることを考えなくては」と豊嶋社長は語る。「生き残り競争が激化する中、仕事を取るためには他社ではやっていないことに取り組むことが重要です。アクティブホームページサービスは自社の生産管理情報を一部、発注元に公開するような仕組みだとイメージしています。インターネットを通じて情報を公開することで、発注元に同じ敷地内にある“自社の工場”と認識してもらえるこのようなシステムは、導入すれば大きなアピールポイントになると考えています」。 |
||
不況時こそヒトづくり | ||
世界同時不況の影響から、他社と同様、仕事量は落ち込んでいる。過去には3社あった大口の得意先のうち1社は倒産し、現在は2社。この不況下に取り組むべき課題として、豊嶋社長はヒトづくりを挙げた。 「中小企業は、設立20年くらい経った頃に廃業するところが多い。その原因のひとつは社員教育ができていないことです。中小企業は大企業と違って人数はぎりぎり、勉強する時間を社員に与える余裕はなく、これまでは教育したくてもできずにいました。今こそチャンス。不況を恵みの雨と考え、社員教育を積極的に行い、技能の伝承だけでなく“学ぶ”ことの重要さを浸透させていきたい」と従業員を重視する豊嶋社長らしく、ヒトづくりの重要性を語ってくれた。 |
||
その他の記事 Sheetmetal&digital-bankin.com はこちらからご覧下さい。 | ||