IT活用インタビュー | |
SDDサポートサービスで不安を一掃 − IT活用による品質安定で発注元の信頼を獲得 − |
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1990年代後半からIT化を 推進 | ||||
1997年には板金ネットワークシステムのサーバーであるASIS100PCLをいち早く導入。2次元CAD/CAM AP60で作成したプログラムを記録し、2度づくりを防止してリピート加工に対応する体制を築いた。2001年にはAP100を導入するとともに、既設のレーザマシンLCV-2412βに現場端末PEU/Winを増設し、事務所と工場をネットワーク化した。2004年には生産管理システムWILL受注・出荷管理モジュール+Mを導入、2008年にはHDS-8025NTと曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bend、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入するなど、着実に工場のIT化を推進してきた。 |
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紙からデータへと置換 | ||||
設備投資は、同業者から仕入れる情報と、アマダからの提案を採り入れながら、積極的に進めていった。 「個人的にはITは苦手な分野でしたが、必要に迫られて自分でも使うようになってからは、たしかに画期的だと思うようになりました。生産管理情報の一元化はもちろん、プログラム工程では展開ミスも激減し、データの2度づくりがなくなったことで工数削減とともに品質安定にも繋がっていきました」。 手応えを得た茂木社長は工場設備のさらなるIT化を加速。ネットワーク対応マシンを導入し、受注台帳・見積書・注文書・図面・展開データ・加工データ・製造指示書など、あらゆる情報が紙からデータへと置き換わっていった。 |
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EDI受注から展開・加工データ作成・加工まで一気通貫 | ||||
新規の案件はまずEDIで引合いが入り、図面(DXF)を呼び出して納期確認を行う。EDI上で見積りを提示し、金額が決定すると受注が確定、注文書を出力できるようになる。受注情報はWILLに登録、AP100で作成した立体姿図が印刷された生産指示書を発行して、図面と一緒に現場に流す。その際、納期によって色分けした現品票も別途添付し、納期遅延の防止や特急品対応に役立てている。 プログラム工程では、主にAP100で展開を行い、ASIS100PCLサーバー(SDD)に保管する。上流設計の3次元化を見越して導入したSheetWorksは、情報漏洩を危惧する発注元から3次元データの提供をなかなか受けられず、本来の目的だった受けCADとしてではなく、複雑形状の製品を3次元モデル化して自動展開して活用している。AP100・SheetWorksで作成し、SDDに保管した展開図データは、Dr.ABE_Bendがバッチ処理で読み取り、曲げ加工データを自動作成。現場では、AP100のネスティング機能(オプション)で作成したネスティングデータと、Dr.ABE_Bendが作成した曲げ加工データを呼び出して、即座に加工に移る。 |
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SDDサポートサービス導入で不安を払拭 | ||||
「この時の体験で、データの大切さが身に染みました。WILLにはすべての受注情報、SDDには図面から加工データにいたるすべての製造データが保管されていますから、サーバーが機能しなくなるだけで工場は止まってしまう。当社に限らず、中小製造業はITを活用することはできても、故障などの不測の事態に直面した時に対処する術を持っていません。昔のように紙ベースでファイリングしてキャビネットに保管するのであれば故障は起きないでしょうが、火災などに対してはかえって無防備です。その点、SDDサポートサービスは、WILLとSDD両方のデータを、Webを通じて外部の信頼できるデータセンターへ送信し、バックアップを取ることができます。さらに、ハードウエアが故障したとしても即座に代替機の『SDDサポートBOX』に機能を移して操業を続けることができます」。 昨年12月、WILLのサーバーの故障からほとんど間を置かずに、茂木社長は同サービスの導入を決断。「幸い、効果を確かめる機会は今のところありませんが、WILLのサーバーが故障した時に抱いた不安は払拭されました」と語っている。 |
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主要3社・3業種からの受注でリスクを分散 | ||||
リピート率は、半導体製造装置関連と測定機器が約90%、食品機械が30%となっている。モデルチェンジの周期はだいたい2年で、試作の仕事を受ければ、その後の2年間はリピートの仕事を確保できる。物量もある程度予測できるので、初期ロットでまとめ生産を行い、在庫から引き当てることで納期短縮と原価低減に対応している。 「業種が分散しているのは、景気変動に対応するリスクヘッジとして有効な手段と考えています。以前は、得意先5社がそれぞれ売上の約20%ずつを占めるといったバランスの良い時期もありましたが、現在ではどれかが落ち込んでも、どれかが伸びる。そのおかげで、リーマンショックのダメージも最小限で切り抜けられたと思います」。 |
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高品質・短納期を推進、信頼獲得で“ノー検”を目指す | ||||
から品質に不安があると判断されれば、すぐに調達部門に反映され、仕事はなくなってしまう。何よりも怖れている事態です。その一方で、安定して高品質の製品を提供し続けられれば、“ノー検”扱いにしてくれるお客さまも出てきます。そうなると当社の責任は増し、これまで以上にしっかりやらなければというプレッシャーが大きくなる代わりに、お客さまの信頼を勝ち得たという確信に繋がります。日々の品質安定の先には、“ノー検”があると言っても過言ではありません。当社は作業マニュアルも整備していますが、実践が100%は追い付かず、不良ゼロにはなかなか到達できません。毎日の朝礼で唱和(納期厳守・品質安定・整理整頓・不良ゼロ)を行うなどのメンタル面での働きかけもさることながら、充実した加工マシンやITなどの設備を活用して、さらなる品質の向上を図っていきたい」と語る茂木社長。“高品質”を武器に得意先の信頼 向上を目指す。 |
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