IT活用インタビュー
 
SDDサポートサービスとウイルスチェックサービスで“安心”をPR

−データを守ることはサプライヤーの責務−
TK(テイクアウトローダー)付きでミクロジョイントレス加工が可能なEML Z-3510NT
株式会社ツジデ
代表取締役 辻出 浩一
住所 長野県埴科郡坂城町大字中之条2149
TEL 0268-82-2675
設立 1963年
従業員数 38名
業種 産業機械関連、制御盤・配電盤関連、半導体製造装置関連、自動券売機関連、ステンレス製建具などの精密板金加工
URL http://www.tsujide.co.jp/
   
会社経歴 1963年、辻出元秋現会長が4人の兄弟とともに拠メ出金属として設立。産業機械カバー、配電盤などの各種板金加工を手がける。1984年、(株)辻出金属に株式改組。1990年、(株)ツジデに社名変更。1991年、ステンレス建築部門を開業、昇降機外装・ステンレス製建築建具の製造に着手。1997年、自社製品「福門」発売開始。

主要設備
パンチ・レーザ複合マシン EML Z-3510NTP+RMP-48M+TKなど計2台、パンチングマシン VIPROS Z-358NT、ベンディングマシン HDS-1303NT/8025NT、FBDV-8020NT×3台など計8台、自動倉庫MARS、ソフトウエア AP100、 SheetWorks、WILL受注・出荷モジュール+M、YAGレーザ溶接ロボット YLR-1500U ×2台
 
 データの保護、早期復旧、お客さまへの“安心”
 「不測の事態が起こった時に、蓄積してきた膨大な資産を丸ごと失うのを防ぎ、しかも非常に短時間で復旧できること。それによってお客さまに対する責任をきちんと果たし“安心”を提供すること。この2つが、SDDサポートサービスの最大のメリットだと考えます」と辻出浩一社長は強調する。

 「当社独自のノウハウを盛り込んだ何万件もの加工データが何らかの要因で失われてしまった場合、復旧は正直に言って難しい。図面を見てつくり直すにしても、プログラムを作成する際にいちいちメモを残しているわけではないので、前と同じモノができるとは限りません。しかも、失ったデータをすべてつくり直すには10年以上かかるでしょう。そうなれば会社は存続できません。データは当社の存続にかかわる重要な資産ですから、厳重に保管する必要があります」と辻出浩一社長は語る。

▲(株)ツジデ 会社外観
 
 最初期からネットワーク化を推進

▲受注情報はEDIで受け取り、WILL受注・出荷モジュール+Mが受注処理を行う

▲AP100にDXFデータを取り込んで展開
 同社は1963年の創業以来、産業機械カバー、制御盤・配電盤関連、半導体製造装置カバー、自動券売機などのキャビネット・操作箱・機構部品、各種OA機器、昇降機外装、ステンレス製建具・外装パネル・門扉などの精密板金加工を手がける。

 1980年代からCAD/CAMのワークステーションと加工マシンを光ケーブルで繋いでデータによる運用を開始し、クライアント・サーバー型のPCネットワークが実用化すると即座に移行。1995年、板金ネットワークサーバーASIS100が製品化したばかりの頃からネットワーク化を推進してきた。デジタル化、ネットワーク化の意識が高く、早くから積極的に採用してきたからこそ、データの重要さは人一倍、身に染みている。

 「正確に数えたわけではありませんが、これまでにつくり溜めたプログラム件数は13万件くらいになると思います。規模のわりには、かなり多い。これまでも安全保管のために、フロッピーディスクやMOといったメディアにバックアップしたものを耐火金庫や、モノによっては銀行の貸金庫を借りて定期的に入れ替えるといった対応をしてきました。しかし、メディアの容量が小さいこともあって、大量のメディアが必要になり、バックアップするだけでも大変な工数を要しました。それが、2009年6月にSDDサポートサービスを導入したことで、こうした管理業務からすっかり解放されたのは非常にありがたい」。

 「データを守ることはお客さまへの責務」

▲展開・CAM付けが終了したら立体姿図でダブルチェック

▲WinNESTによる全数ネスティング
 「データを守ることは、当社の身を守るだけでなく、お客さまに対する責任を果たすことでもあります。お客さまの中には、サプライヤーのデータ管理について、保管方法や安全対策などを評価項目として設けているところもある。『地震や火災などの災害があったときに何日で復旧できますか』と問い合わせを受けることもあります。当社で作成する展開図や加工データも、元を正せば、お客さまからお預かりした図面を基に変換・編集してつくられたもの。突き詰めれば、お客さまからお預かりしている資産の一部です。お預かりしたものである以上、サプライヤーには紛失や漏洩が起こらないよう安全に保管・運用する責務があります」。

 「SDDサポートサービスを導入したことで、大手メーカーのお客さまから『御社のセキュリティポリシーは?』と尋ねられても胸を張って答えられる。敏感なお客さまには、『当社はこういった安全対策上のシステムを導入している。安心してお任せください』とPRすることもできるでしょう」。
 ウイルスチェックサービス

▲もう1台のEMLはPDC(金型自動交換装置)付きで、自動倉庫MARS(10段9列)と繋がり、全自動でブランク材取り出しまで行う
 「今回、新たに導入を決めたウイルスチェックサービスも、お客さまに対する責任を果たすという意味では同様です。当社では、WebにアクセスできるPCすべてにアンチウイルスソフトを個別にインストールしていましたが、市販のパッケージ商品ですから、運用の負担や責任はあくまでも当社に帰属します。しかし、ウイルスチェックサービスは、ライセンス管理やウイルスリストの更新までアマダアイリンクサービスが責任を持ってサポートしてくれます」。

 「今はどこの会社でも、お客さまとの間で見積りや技術的な図面をメールでやりとりし、気軽にインターネットで調べものをする。自宅でも仕事でも当たり前のようにインターネットを使うようになったことで、かえってウイルスの脅威や情報セキュリティに対する認識が甘くなり、安全対策を疎かにしている部分があるように思います。その一方で情報漏洩の事故は後を絶たず、情報セキュリティの意識が高いお客さまは当然、警戒するようになりますから、『メインサーバーだけでなくネットワーク全体を一元的に常時監視しています』とPRすれば、お客さまの“安心”を勝ち取ることができます」。

 受注情報から加工データまでネットワークを徹底活用

▲曲げ工程はFBDV 5台、HDS 2台がネットワークでSDDと繋がっている

▲ノウハウが注入された最終補正値の決定後は必ずSDDに上書き保存。70%を占めるリピート加工はSDDから加工データを呼び出して活用する
 同社の主要得意先は8社。リピート率は、細かい設計変更も含めると約70%。リピート率が高いことも、データの重要性を増す要因になっている。

 EDIによる受注が約50%で、受注情報は即座にWILL受注・出荷モジュールに登録される。受注図面は紙図面がメインだが、2次元データ(DXF)は請求制となっており、請求さえすればどの発注元からも取り寄せることができる。簡単な製品は紙図面を基に2次元CAD/CAM AP100で図面入力、複雑な製品は 注元からDXFを取り寄せて細部を確認しながら展開し、曲げ線を入力して立体姿図まで作成する。3次元データは、少しずつ普及しているとはいえ、まだまだ少ない。「お客さまの中では3次元CADが浸透しつつあるようですが、サプライヤーの受け入れ体制にバラツキがあるからだと思います」(辻出社長)。

 たとえ単品でもスケジュールに基づいたネスティングを徹底。この時点で展開・割付が終わった新規品からリピート品に合流させていくため、ネスティングの際には新規・リピートが混ざり合うことになる。

 WILLでバーコード付きの作業指示書を発行し、図面と一緒に現場に流す。工程進捗は、今のところ受注時と出荷時のみ、出入口で管理している。

 「SDDサポートサービスで、もう1つ嬉しかったのは、リモート操作支援によるメンテナンス。データでの運用が徹底されていると、ネットワークのトラブル時には仕事がすべて止まってしまう。トラブル時にサービスマンやエンジニアを呼んで対応してもらうと半日や1日は簡単に過ぎてしまいますが、リモート操作支援でASIS100PCL(SDD)の機能をバックアップしているSDDサポートボックスに切り替えてもらえれば、長くても30分で復旧にこぎつけられる。トラブルの原因解明はひとまず復旧してから、じっくり取りかかれば良い。SDDサポートサービスにしてもウイルスチェックサービスにしても、バックアップ、サポート、ウイルス対策まで管理を丸ごとアマダアイリンクサービスにお任せできるとなれば、これに勝るサービスはないのではないかと感じています」。

 一時は売上80%減も現在は回復基調

▲溶接品質を高め、付加価値を上げるためにYAGレーザ溶接ロボットシステムYLR-1500Uを採用
 「先代である父(辻出元秋会長)から事業を引き継いで社長に就任したのが2007年9月、就任1年ちょっとで、どん底を経験しました。売上は最悪時で約80%減。それも今では、これ以上にない良い経験ができたと前向きに捉えています。今年は回復基調ですが、一切油断はできません。市場自体が縮小しているため、サプライヤー間での熾烈な競争は、さらに激しさを増しています」。

 「“世界の工場”と言われる中国は、今後輸出型から地産地消の内需型へとシフトしていくと思いますし、輸出に頼らなくても、自分たちでつくって自分たちで消費する、それだけの人口と市場が中国にはあります。さらには中国の後は、ベトナムやインドといったアジア諸国、ロシア、ブラジル、ひいてはアフリカが“世界の工場”としての役割を引き継いでいく。すべての先進国に言えることですが、生産の海外シフトの流れは続いて行くと考えています。幸いなことに、国内にはまだ当社の製品を高く評価してくださるお客さまがいてくださる。そうしたお客さまがある限り、当社はこれからも技術の向上に努め、お客さまに満足していただける高付加価値の製品をつくっていく。それもまたサプライヤーである当社の責務と考えています」。

 
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