IT活用インタビュー | |
海外調達により得意先・協力工場両社とWin-Win関係を築く −サービスをよりスマートに提供− |
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“スマート性”を追求 | ||
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海外調達にも着手 | ||
同社は京都市内に本社工場、滋賀県草津市に滋賀工場を持つ。 本社工場では、自動券売機・自動精算機などの板金加工や、半導体製造装置・医療用分析機器などの精密板金加工を行う。1997年に立ち上げた滋賀工場では、各種装置の組立・配線とリペア事業(ATMモジュール部品のメンテナンス事業)を行っている。 これに加えて、2006年頃からは中国・福建省の協力工場と取引を開始し、切削加工や板金加工の一部を委託。海外からの部材調達にも力を入れている。 「海外調達については、1990年代の中頃から考え始めていました。その頃は第1次中国ブームで、お客さまから『もうすぐ仕事量は半分くらいになる。10年後には1/3くらいになる』と言われていました」 「しかし、一足飛びに中国へ独資で進出するのは抵抗がありました。中国に工場を持っているお客さまもいましたが、まだ日本の仕事は流出しておらず、特に要望を受けたわけでもありませんでした。そこで、リスクを背負って独資で進出するよりは、ネットワークをつくって調達するのが得策だと考えました。2006年から切削の仕事を頼むようになり、板金の仕事も頼めるようになったのは2010年に入ってからです。今はカバーやフレームの製作を試験的に依頼している段階です。協力工場にとっても、日本のモノづくりを学びたいという思惑があったので、Win-Winの関係を築けていると思います。もちろん、課題とされる品質や納期は当社が責任を持って管理します。何かトラブルがあれば、赤字を出してでも当社が対応します。それができるのが、商社と、当社のような加工業者との最大のちがいです」。
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期待と責任に応える | ||
「特に、券売機・ATM関連を手がけるお客さまとの出会いがあったからこそ、当社は設立50周年を迎えられました。『お客さまに育てていただいた』という思いは強く持っています」と伊東社長は感謝の言葉を強調した。 「お客さまは、サービス業に例えるなら“5つ星”。そのお客さまに製品を買ってもらうためには日々、努力を積み重ね、日々研鑽しステップアップする必要があります。当社も、これまでの積み重ねで星1つくらいはいただけると自負していますが、それはつまり期待と責任が増すことでもあります。中国・福建省の協力工場にも『伊東板金の製品として自信をもってお客さまに提供できる製品をつくれるようになってほしい』と伝え、技術指導も行っています」。 |
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“プロセス管理”の重要性 | ||
「以前は“技術”で製品の品質が保たれていましたが、今重要なのは“プロセス管理”です」と伊東社長は語る。「アマダが推奨するVPSS(Virtual Prototype Simulation System:バーチャル試作システム)のおかげで、板金工場のプロセス管理は大幅な進化を遂げました。“技術”が必要なのは初回だけ。当社はリピート率が90%と高いので、2回目以降のリピート生産でどれだけ効率良く製品をつくれるようにするかという“プロセス管理”が重要になってきます。また、“技術”と一口に言っても、いわゆる“勘”や“コツ”ではなく、経験という蓄積されたデータに基づいたものでなくては意味がありません。その意味でも、社員個々のスキルと経験をデータとして社有化するVPSSの功績は大きいと思います」 |
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独自の生産管理システム「I-SIS」 | ||
「昔はお客さまから組み図で受け取り、バラシは当社の役目でした。バラシ・展開の後、生産技術が当社独自の『卍絵』という簡単な加工図を描いて、現品票に入れ込みます。現品票には『親カンバン』が付いていて、親にあたる製品が、いくつのパーツで構成されているかが記されています。ですから、パーツひとつひとつに図面を添付する必要がなく、溶接・組立工程で組み上がった後の図面が1枚あれば良いことになります。当社はこの取り組みを1990年代半ばから紙ベースで始め、2000年代に入ってからはコンピュータ上で行えるようになりました」。 2000年からは得意先の発注システムと連携した独自の生産管理システム「I-SIS」を本格稼働。「卍絵」と「カンバン」を活用した図面レス化の取り組みがコンピュータ上でできるようになった。 得意先からEDIで受注すると、生産管理システムに自動登録される。「カンバン方式」を採り入れ、JIT生産に対応しており、納期からリードタイムを逆算して、着手予定日には自動的にカンバンが発行される。 このシステムを利用した改善の取り組みは高く評価され、メインの得意先からは「生産改善コンクール」の優秀賞を受賞している。 |
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“工程結合”により工程を単純化、進捗管理も実現 | ||
「一口に穴あけと言っても、パンチング、タップ、カシメ、バリ取りなどが含まれます。あまり細かく分けても仕方がないので、3工程に分けて工程間に関所を設け、工程内の作業がすべて終わらないと次工程に進めない仕組みになっています。現在は大雑把に、穴あけ2日、曲げ1日、溶接3日で工程を組みます。各工程では“着手”の記録を取り、最後の出荷時のみ“完了”の記録を取ります。それで必要十分の情報は確保できます」。 |
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「ODM」を目指す | ||
今後の展望については、「国内ではサービス業やスマート性、ホスピタリティといった要素を備えた企業が生き残ると考えています。当社も板金加工と組立を基本としていますが、それだけにはこだわりません。 海外調達ですでに着手している商社的機能や、海外に出た仕事を取るための仕組みづくりといった新しいビジネスに展開する可能性があります。また、ゆくゆくは自社で仕様まで決め、設計・製造を行うODM※にまで対応できる企業になりたいと考えています」と語っている。 得意先へのサービス精神をベースに、多方面にわたる取り組みを絶え間なく実践し続ける同社の飛躍に期待したい。 ※ODM 相手先のブランド名で製造することをOEMと呼ぶのに対し、設計から製造までを手がけることをODMと呼ぶ。OEMでは製造する製品の仕様や設計を相手先が決定するが、ODMでは設計から製品開発を行う点が異なる。 |
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