IT活用インタビュー | |
ネットワーク化とISO 遵守により業務拡大するフィリピン工場 −日本の持つ技術力により現地工場の生産技術が向上− |
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研究員から経営者へ | ||
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日本の本社工場は板金加工・金型製作・プレス加工に精通 | ||
「創業当初は、プレス金型の加工をしていましたが、得意先との兼ね合いで板金加工へと移っていきました。リピート率は電気部品メーカーからの仕事が高く、信号機のメーカーからの新規とリピート比率は均等です。当社は鉄道信号、交通信号などの製造に36 年の実績がありますから、どのような要望にも応えていきます」と力強く語る。 |
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JETRO からの依頼でフィリピン進出 | ||
「1960 年代の話になるのですが、当時知り合ったフィリピンと太いパイプを持つ商社の方に、2 度ほどフィリピンに連れていってもらったこともあり、フィリピンの将来性に関心を持っていました。フィリピンの印象は、国にも人にも元気があるということと、勤勉な国民性を持っているということです。ですから、フィリピンは、がんばり甲斐のある土地柄だと思います」。 「1992 年にJETRO(日本貿易振興機構)より、フィリピンに製造子会社を設立し、精密加工(金型製作・プレス加工など)を指導してくれないかという依頼がありました。そこで2 年間の調査期間をもらい、フィリピンに進出している企業を30 社程調査し、1994 年に進出を決断しました。設立場所は、フィリピン政府が開発した『カビテ経済特区』という工業団地内です。設立当初の従業員数は、日本からの技術者1 名を含む12 人でしたが、当社の進出はフィリピン政府からの要望でもあったので、進出時には政府を挙げて歓迎してくれました」。 |
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日本からフィリピン工場への業務移管はゼロ | ||
その点を会長に聞くと、「フィリピン政府の後援があったこともあり、ドイツやアメリカの企業から金型関連の仕事を受注していました。当時のフィリピンでは、当社が導入したマシニングセンタなどは新しい設備でしたから、その点も新たに仕事を受注する上ではPR ポイントになったと思います。そして、設立から2 年後、フィリピンに進出していた日系企業から援助・アドバイスをもらい、金型加工からプレス加工へと仕事をシフトしていったことで仕事の幅が広がりました。プレス作業は2 人1 組で対応するため、新たに従業員を50 人程採用しました。その後も増え続け、現在の従業員数は約200 人程です」。 2000 年には、アマダ製のベンディングマシンやパンチングマシンARIES-245 を導入して、板金加工の仕事を始めた。以後、日系企業から受注する板金関連の仕事も増えていった。現在の仕事の比率は、板金加工50%、金型25%、プレス加工25%。バランス良く手がけ、業容も拡大している。 |
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ネットワーク化と設備投資により業務拡大 | ||
ネットワーク化への大きな転機は、2006 年ころにフィリピン工場が自ら出資して、ネットワーク対応型パンチングマシンEM-2510NT、ベンディングマシンFBD V-3512NT/8025NT、2 次元CAD/CAM AP100 を導入したことだった。現在ではすべてAP100 でCAD データを展開・CAM 割付を行い、工場内に4 台あるネットワーク対応型ベンディングマシンでデータを呼び出して、加工を行っている。そこへ至るまでにはよほど丁寧な技術指導などを行ってきたのだろうと思い、会長に聞いてみると、「ほとんど技術指導などはしていません。彼ら自身が失敗しながら、貪欲に学んでいるんですよ」と言うから驚きだ。 2011 年2 月には工程統合マシンLC-2012C1NT も導入し、さらなる効率・高品質化を目指す。坂口会長は、現地のフィリピン人スタッフについて「勤勉ということもありますが、コンピュータやネットワークに対しての理解が早く、とても優秀です」と評する。 |
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ISO により5S が徹底、効率的・衛生的な工場へ | ||
認証取得は2005 年。坂口会長は「日本の本社工場では、お客さまの厳しいQ,C,D 要求に対応するため、設備投資に力を入れてきましたが、事業を拡大しながら少しずつ経営基盤を積み上げている途中でISO9001 による品質管理の標準化を徹底的に行いました。海外で仕事をする上で、ISOの取得は必須と考えていました」と、国際社会で製造業を発展させるための最善の対策を採った。 ISO 取得で期待できるメリットは、同業他社との差別化、企業のイメージアップやムダの排除によるコストダウン、社員教育などによる社員のレベルアップやモラル向上など。 「昔は、工場内にゴミが落ちていることもありましたが、現在ではそんなことはありません」と、ISO 取得が効果的に作用しており、ISO で決められた品質基準を遵守しているのがうかがえる。 また、ISO 取得の効果で不良在庫の一掃へ向け、従業員たちが自主的に写真付きの現状レポートや改善案などを工場内に貼り出しているそうである。 |
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フィリピン工場の完全独立に向けて | ||
そのことについて坂口会長は「彼ら自身の力で完全に独立してもらいます。これはフィリピン工場の設立当初からの方針です。ですから、今後も日本工場から中古機械・設備などをフィリピン工場に送るということはしません。そういったことをすると、モチベーションにも影響します」と、ぴしゃりと言い切り、両者が自立するためにすべきことを見据えている。 日本の銀行から融資を請け、自主自立に向けての力強いエネルギーを持つフィリピン工場。一方で長年培った技術力と信頼で事業発展する日本本社。同社の経営陣には、それでよしとする考えや、慢心する気持ちはない。これからも相互補完しながら成長していくことを、取材を通じて確信した。 |
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