IT活用インタビュー | |
多品種少量生産に受注情報・加工情報の “データ化”で対応 −「SDDサポートサービス」の導入で工場の稼働停止を防ぐ− |
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多品種少量生産に対応するため“データ化”を推進 | ||||
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ウイルス感染の疑いからサーバーの一時停止を体験 | ||||
管理部部長を兼務する降矢義美 執行役員は「加工データが集約するSDD のデータは、2006 年頃からバックアップを取るようになりました」と語っている。 「2005 年頃、当社のサーバーにコンピュータウイルスが侵入した疑いが見られたために、大事を取って2 〜 3 日の間、電源とネットワークを停止し、業者を呼んで全面的にサーバー内のクリーニングを行う、という出来事がありました。大事に至らなかったのはよかったのですが、2 〜 3 日という限られた期間とはいえ、サーバーを止めたことで工場を停止せざるを得なかったことが大きな課題として残りました。 この出来事をきっかけに、データのバックアップを取る必要を痛切に感じました。バックアップさえ取っていれば、いくらか制限はあったかもしれませんが、サーバー機能を別のハードウエアに移すことで、工場を稼働させ続けることができたかもしれません」(降矢役員)。 2006 年からは、社内にバックアップ用の機器を設置し、週に1 回、バッチ処理でSDD のデータを同期(ミラーリング)させるようになった。 2007 年にISO9001 を取得したことも、バックアップに対する意識をいっそう高めることになった。ISO では第三者機関による更新審査が定期的に行われるが、その際に必ず「バックアップはどのように取っているか」と聞かれる。同社はすでに対策をとっていたので問題になることはなかったが、品質マネジメントの観点からもバックアップの体制が問われるようになっていることが刺激になったのは間違いない。 |
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工場の稼働停止を防ぐ「SDD サポートサービス」導入 | ||||
「屋代社長の自宅にバックアップ機器を置いて、Web 経由でデータを送信しようかと思い、テストしてみましたが、当時はまだこのあたりに光ファイバーが敷設されておらず、通信も不安定で、うまくいきませんでした」(降矢役員)。 そこへアマダアイリンクサービスから『SDD サポートサービス』の提案を受け、2010 年11 月頃に導入を決断した。このサービスは、SDD のデータを『SDD サポートBOX』にミラーリングするとともに、Web を通じてデータセンターに3世代分のバックアップデータを預けることもできるというもの。 降矢役員は「単なるバックアップではなく“工場が止まるのを防ぐ”というコンセプトが当社の要望と一致しました」と語っている。 「ウイルス感染の疑いからサーバーを停止せざるを得なかった経験をもつ当社にとって、『SDD サポートBOX』は大きな魅力でした。ただのバックアップだとトラブル発生時に、代替機を設置し、設定をして、バックアップデータをすべて戻すなど、完全にサーバーの機能を代行させられるようにするまでに時間がかかってしまいますが、『SDD サポートBOX』があれば、瞬時にサーバーの機能を切り替えることができます。もしSDD だけがウイルスに感染したなら、いったん『SDD サポートBOX』に機能を切り替えてからクリーニングを行い、ウイルスを完全に除去できたことを確認してからゆっくり元に戻せばいいのです」。 |
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WILLの受注データもバックアップ | ||||
同社は2001 年にWILL を導入して以降、受注情報の管理はすべてデータで行うようになり、受注台帳をはじめとした帳票は完全に廃止している。大手の得意先メーカー7 社のうち、2 社からはEDI で注文を受ける。そのうち1 社は、発注データと一緒に図面データも添付される。一品一様なので、同じ製品・同じ納期の注文が同時に来ても、製番がちがえば注文番号も変わってくる。しかし、それをいちいち人手をかけて入力し、伝票を発行していたのでは管理工数ばかりが膨れ上がってしまうため、EDI で受注したデータは自動的に直接WILL へと登録されるようにカスタマイズしている。 「受注データはEDI を通じて刻々とWILL に登録されていきます。そのデータがすべて消えてしまったとしたら、どの製品をいくらで受注していたのか、今月の売掛・入金など、何も分からなくなってしまいます。それでWILL のデータもSDD に集約し、バックアップの際にはWILL のデータもまとめて外部のデータセンターへバックアップできるようにしてもらいました。これで加工データと受注データ、両方のバックアップを一挙にとることができます」(降矢役員) 3 月11 日に発生した東日本大震災で同社が大きな被害を受けることはなかったが、それでも降矢役員は「SDD サポートサービスに入っていて良かった」と話している。 「このあたり(茨城県土浦市)は落雷の多い土地柄で、年に何度か、落雷による停電が発生しています。サーバーは365 日稼働していますから、休日でも雷が鳴れば矢も楯もたまらず、様子を見るために出社していました。今はUPS(無停電電源装置)とSDD サポートサービスを導入しているおかげで、そこまでやきもきせずにすんでいます。震災後は様々な心配事が尽きませんでしたが、データの保全という 点では安心していられました」。 |
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図面データのバックアップとペーパーレス化が課題 | ||||
降矢役員は「当社は2007 年頃から、紙図面をスキャンして画像データとして保管しています。しかも、現場の作業者が生産指示書や図面に書き込んだ生産上の“注記”も、事務所に戻ってきた段階で逐次、反映させていますから、これは加工データと同じくらい重要な当社の資産といえます。しかし、お客さまからは毎月1,000 枚近い図面が次々に送られてきますから、ファイルの数・データ量ともに膨大で、バックアップも容易ではありません。WILL の受注データをSDD の加工データと一緒にバックアップできるようにしたときのような、簡単な話ではありません。しかし最近はクラウドコンピューティングの進展によってデータセンターをはじめとするオンラインストレージ(Web 上のデータの保管領域)も大容量化していますから、セキュリティや安全保証の問題をクリアできれば、対応を進めていきたいと考えています」。 屋代社長は「当社では現場の各工程にWILL の端末を設置して、進捗・実績情報を確認できるようにしています。また、作業完了時には生産指示書のバーコードを読み取り、進捗を管理していますが、作業者の手間を考えると、いちいち端末のところへ足を運ばなくても良いように改善したいと考えています。スマートフォンやタブレットPC の普及が進んできたことで、バーコードの読み取りだけでなく、携帯通 信端末で進捗情報や生産指示書、図面データも携帯通信端末で参照できるようになれば、現場のペーパーレス化も現実味を帯びてくると期待しています」と、それぞれ意気込みを語る。 さらに屋代社長は「これからは3 次元設計にも対応し、仕事を伸ばしていきたい」と攻めの姿勢も見せる。2010 年には、SDD サポートサービスと同時に3 次元ソリッド板金CAD SheetWorks を導入。得意先メーカーから3 次元の外形モデルだけを受け取り、板金設計から一括で請け負える体制づくりに取り組んでいる。成長する仕事に対応するため、現在の工場の隣地では、ほぼ同じ敷地面積をもつ新工場の建設がすでに始まっている。 “データ化”により多品種少量に対応していった屋代社長。会社が成長を続けるための武器として、攻守の両面でIT を最大限に活用していこうとしている。 |
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