品質を上げる工夫
高精度加工を追及した特注の板厚材のことです。

今回は、精度出しの一番大きな要因である板厚のバラツキを押さえた特注の材料を使って、寸法精度・角度精度がどう通常材と違うかをレポートしてみました。


高精度板厚材 サンプルロット概要

SPCC−SB(みがき)
板厚   : 1.2t
コイル幅: 1185mm
コイル重量:6900kg
(原コイルはA社の特級品・・・±40μm保証)

製品重量: 5584kg
製品形状:1.2t×1000×2000
製品枚数: 297枚

梱包   : 2トン ・・・ 2個
        1.58トン・・ 1個


高精度板厚材 板厚測定
同一ロット(同じコイルより切り出された)材料の詳細な板厚の分布を測定しました。

測定方法は、素材に測定用のテンプレートを載せ、測定用穴位置の板厚を超音波板厚計で測定しました。(測地ポイントは、1枚の板に対して200ポイント)



板厚のバラツキ量
公称板厚1.2mmに対して、高精度板厚材の平均板厚は公称値どおり、標準材は0.03mm薄い

板厚のバラツキ量は、高精度板厚材が標準材の約半分の板厚バラツキとなっています。








 曲げ評価 B社における製品加工
 高精度板厚材の曲げ精度を実際に則した形で評価するために、B社において実際の部品を高精度板厚材と現状の材料で曲げ加工をおこない、仕上がり角度と寸法精度のばらつきを比較しました。
 尚、曲げ作業はB社のベテラン作業者(ベンダー歴20年)に担当して頂きました。

  加工製品形状
製品B

   


製品C




  テスト条件
 高精度材:SPCC-SB(t1.2,ブライト仕上)
 標準材 :SPCC-SD (t1.2,ダル仕上)
 サンプル数:製品B・Cの2種を
         高精度材標準材共に30個
 金型角度:88度金型
 パンチ   :PR=0.6mm
 ダイ    :V=6mm、DR=0.4mm
 曲げ機械:FBDV8020−AMNC
 角度測定器:アマダデジプロ
 寸法測定器:デジタルノギス
 角度測定個所:製品B・Cの角度B・C1・C2
 寸法測定個所:製品Cの寸法C1・C2


  
  寸法精度比較
曲げの寸法精度では、高精度板厚材の効果は認められませんでした。
 


  角度精度比較
曲げ角度のばらつきに対する高精度板厚材の効果は出ています。
 

 


  不良率比較
特に製品Bの鈍角曲げにおいて大きな効果がでました。



 まとめ
高精度板厚材は標準材に比較して、以下のことが言えます。
 ・曲げ作業のトータル時間が減少する。(特に鈍角曲げ製品で顕著であった。)
 ・曲げ製品の精度安定は鈍角曲げ製品で際立っており、不良率も低い。




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