7. 曲げ角度への影響

1.曲げ角度への影響
2.材料属性
3.パンチ先端Rのストロークへの影響
4.ダイV幅のストロークへの影響
5.ダイ肩Rのストロークへの影響
6.ダイ角度のストロークへの影響

【1.曲げ角度への影響】
ストローク0.01mmの重み
表は、デプスの値が0.01mm変化した場合どの程度角度が変化するかを示した一例です。

表を表示 (曲げ角度への影響:表1)

【2.材料属性】
1 .板厚変化のストロークへの影響
  • 板厚が増加すると同一角度に曲げるためのストロークは減少します。
    (板厚が大きくなると、V/t が小さくなるため)
  • 板厚変化に対するストローク変化は、SUS <SPCC <AL の順で影響が大きくなります。
  • 板厚変化に対するストローク変化は、
    (ロットごとの平均板厚差)<(公称板厚−実測板厚)<(ロット内のばらつき)の順で影響が大きくなります。
2.材料定数変化のストロークへの影響
  • V幅や板厚が大きいほど、材料定数変化に対するストローク変化は大きくなる。(曲げRが大きくなり、定数変化の影響を受けやすくなるため。)
  • 材料定数変化に対するストローク変化は、全体的に
    AL <APCC <SUS の順序で影響が大きくなる。
  • 材料定数を変動させる要因は、
    ロール目違い<同位置メーカー内の板厚違い<メーカー違い<材質(処理別)違いの順序で大きくなる

 

【3.パンチ先端Rのストロークへの影響】
下表は、パンチ先端R0.2を基準としたパンチ先端Rの違いによるストロークの変化量を調査したものです。
この結果、

・パンチ先端Rが大きくなるほど、同一曲げ角度を得るためのストロークは減少する。(材料の曲げRが大きくなるため)

・パンチ先端Rのストロークへの影響を曲げ材質別でとらえると、
SUS<SPCC<AL の順で影響が大きくなる。

・V/t が小さいほど、パンチ先端Rのストロークへの影響が大きくなることがわかります。





 

【4.ダイV幅のストロークへの影響】

下表は、ダイV幅のストロークへの影響を調査したものです。
この結果、

・ダイV幅が大きくなると、90°に曲げるためのストロークは増加する。
・ダイV幅のストロークへの影響は、曲げ材料の材質別に
SUS <SPCC <AL の順で大きくなる。

ことがわかります。






 

【5.ダイ肩Rのストロークへの影響】
下表は、ダイ肩R0.4を基準としたダイ肩Rの違いによるストロークの変化量を調査したものです。
この結果、

・ダイ肩R幅が大きくなると、同じ角度を曲げるためのストロークは大きくなる。(公称V幅が同じでも肩Rが大きくなると実質V幅が大きくなるため)

・AL 材の仕上がり90度曲げの場合、材料とV溝の接触位置が肩RではなくV斜面となるため、肩Rの影響はなくなる。

ことがわかります。





 

【6.ダイ角度のストロークへの影響】
下表は、ダイ角度30°を基準としたダイ角度の違いによるストロークの変化量を調査したものです。
この結果、

・ダイ角度が大きくなると、同じ角度を曲げるためのストロークが小さくなる。(公称V幅が同じでもダイ角度が大きくなると実質V幅は大きくなるため)

・ダイ角度のストロークへの影響は、曲げ材質・板厚・V幅などの変動にあまり影響されない。

ことがわかります。