著名者インタビュー | |
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| 2001/4 |
経営トップもITスキルを身につける時代
〜スキル度をチェックしてみよう〜 |
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経営コンサルタント 中小企業診断士 堀口 敬(ほりぐち・たかし)氏 |
1950年生まれ。北海道出身。 72年室蘭工業大学卒業後、沖電気工業に入社。ファクシミリの機構設計やソフト設計などに携わる。 91年から沖データにて原価企画、他社機ベンチマーキングによるコストダウン活動に従事。 現在、同社事業推進部長を務めるかたわら、社団法人中小企業診断協会埼玉支部に籍を置き、経営コンサルタントとして活躍。仮想コンサルティングファームサイト「コンサルパーティー」の運営も手がける。 |
営トップもITスキルを身につける時代 〜スキル度をチェックしてみよう〜 |
「超・勉強法」などの著書で知られる野口悠紀雄氏なども指摘するように、これからの時代はIT技能を身につけることが必須条件。経営トップも例外ではありません。それはビジネス社会においてデジタルデバイドという深刻な問題が幹部クラスを直撃していることからも明らかでしょう。また何よりもネット経営が叫ばれるようになった今日、トップ自らがITを使いこなせなければ他社に打ち勝つ企業戦略を打ち立てることはできません。そうした認識をまず強く持ち、そのうえで確実にITをマスターしていきたいところです。
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インターネットは正体不明のブラックボックス |
ネット社会の広がりとともに、中小企業でも情報インフラの整備が目覚ましい勢いで進んでいます。ITは企業戦略のカナメとなるツールとして定着しつつあります。しかしながら、中小各社において主動的立場でネット環境を構築しているのは若手社員で、経営者自らが積極的にかかわるというケースはまだまだ少ないといえます。経営者の皆さんはITの重要性を理解するようになってきたものの、自ら挑戦しようという姿勢にはまだ乏しいようです。したがって、経営トップにとってインターネットは依然としてブラックボックスであることは変わりありません。
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パソコンを覚えないから、ますます忙しくなるという矛盾 |
それにしてもなぜ、こうも現状は改善されないのか。企業戦略上の有効なツールとしてのITの重要性をそれとなく認識しているにもかかわらずです。
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わずか半年で、目を見張るばかりの改善ぶり |
そこで、コンサルタントを引き受けているある金属加工メーカーの事例をお話ししましょう。その会社はビジネス上のおつきあいを始めた当初はパソコンはあったものの、インターネットにも接続していない状況でした。情報環境の整備は全然手つかずの状態だったのです。それでプロバイダー契約を結んだり、HPの立ち上げを手伝うなどして一通りのインフラを構築し、パソコン操作も基本的なことは何とか学習してもらいました。そのうえで中小製造業の経営者が主宰するネット受注のサイトに加盟することにしたのです。 これがよかった。その会社は自社ではこなせない仕事の外注先を探すケースが多かったため、試しにそのサイトの掲示板に仕事発注の依頼をしてみたところ、すぐに20件ほどのアクセスがあったからです。反応の良さに驚きは隠せない様子でした。電話や外回りで外注先を探すより、はるかに効率がいい。インターネットの利便性を肌で感じ取ったようです。 その後、メーリングリストを作成して独自に情報交換するルートを開発するなどして、いまでは商売上のツールとして有効活用するに至っています。パソコンを本格的に使い始めてわずか半年しかたっていないのにもかかわらずです。その改善ぶりは目を見張るばかりといっていいでしょう。 この例が示すように、比較的簡単に、しかも短期間でIT技能はだれでも身につけられるものなのです。要はやる気でしょう。幸い、一昔前に比べると、パソコンの性能は目覚ましく進化し、使い勝手も飛躍的に向上しました。それにインターネットも安く手軽にできる環境が創出されています。HPもメーリングリストも容易に作成可能です。その意味ではミドルエイジにとっても、ITは恐るに足らない存在となってきています。変な固定観念は振り払い、早速取り組んでみてはどうでしょうか。
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HPはあくまでも看板。 主体はメーリングリストに |
技能を身につける一番の近道は真っ先にメール機能を覚えることでしょう。キー操作など、パソコンの基本的なことも一通りマスターできるからです。このスキルが身につけば、あとはとんとん拍子。ITの世界がぐっと身近になります。HPにメーリングリスト、掲示板、ネット会議など次々と新しいことにチャレンジしたくなるはずです。 そうなってくると、どれくらいスキル度が向上したかが気になってくるというものでしょう。それを具体的にチェックする方法があります。手前味噌ではありますが、私も含めて経営コンサルタントの仲間が共同で運営しているサイト「コンサルパーティー」(HPアドレスは本文最後に掲載)にアクセスすれば、簡単に採点できます。 このサイトには、閲覧者が自社の経営レベルを自分でチェックできる「自己診断コーナー」があり、内容はエクセル、電子メール 、メーリングリスト、インターネット、ホームページ(技術編)、ホームページ(ビジネス編)の6項目があり、それぞれのIT度を自己採点することができます。それぞれに「はい」「いいえ」で回答すると、すぐに判定結果が得られる仕組みとなっており、詳しいアドバイスがほしい場合にはメールで返答を得ることも可能です。 こうしたサイトを利用することでITスキルが高まり、積極的にネット経営に進出していかれることを期待したいところです。 そこで最後に参考までにアドバイスを一つ。それは製造業の皆さんがネットを活用するに当たっては、受注の受け皿として自社のコア技術を明確にすることです。その上共同で受注するというような形がよいでしょう。そのために最も重要なツールはメーリングリストといっても過言ではありません。仕事が舞い込んだ際にすぐにお互いに情報のやりとりができる、いってみればバーチャル工業団地のような仕組みをまず何よりもネット上に整えることが大切だということです。 HP開設に力を入れ、それをつくって終わりという傾向がよく見受けられますが、それでは発展的な受注活動は望めません。HPはメーリングリストに呼び込むためのツールに過ぎません。主体はあくまでもメーリングリストなのです。したがって看板としてのHPを立ち上げるとともに仲間づくりを行い、メーリングリストを作成するのが勝利の方程式といえます。こうした環境が整ってこそ、初めて目に見えた成果があらわれるのではないかと確信しています。 ◎ITスキル度チェックのHPアドレス http://www.consulparty.com/itindex.htm
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