著名者インタビュー | |
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| 2001/6 |
中小製造業におけるISO14001取得と、
環境マネジメントシステムの構築 |
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株式会社鈴木敏央ISO事務所 代表取締役 鈴木 敏央(すずき・としひろ)氏 |
株式会社鈴木敏央ISO事務所代表取締役。社団法人日本環境認証機構前取締役技術部長。主任環境審査委員(JAB)。 1960年横浜国立大卒後、ソニー入社。ソニー熱田常務、ソニーケミカル取締役、ソニー本社環境モニタリングセンター長、社会環境部部長、環境監査担当部長などを経て現職。 その一方で、環境管理規格審議委員会環境監査小委員会委員、東京商工会議所ISO14000認証制度検討会委員など多数の公職を歴任。 著書に「新・よくわかるISO環境マネジメントシステム」(ダイヤモンド社)など。この5月にはISO14001を認証取得した中小企業の文書事例をまとめた「環境ISO『文書』実例114」(責任監修、ダイヤモンド社)も発行。 |
中小製造業におけるISO14001取得と、環境マネジメントシステムの構築 |
容器包装リサイクル法に続き、本年4月には家電リサイクル法が施行されるなど、法整備が着々と進むなか、環境にできるだけ負担をかけない循環型社会を構築していこうとの気運が高まっています。産業界もむろん、こうした時代の潮流とは無縁ではいられません。環境保全に前向きに取り組む企業は増加の一途。製造業を中心にISO14001認証取得やグリーン調達への動きが日増しに強まってきています。 なかでも注目すべきことは、環境を意識した経営がいまや大手だけでなく、中小製造業に対しても変革を促す波となって押し寄せてきていることです。環境問題は社会全体としての取り組みが何よりも求められており、大手企業の意識変革に合わせて中小製造業においても避けて通れない要件となっているのです。 そこで今回はISO14001取得状況やグリーン調達の動向、中小製造業における環境マネジメントシステム構築のメリットやその導入のポイントについて考察してみることにします。
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製造業中心に審査登録が活発化。中小企業の取得件数も急増中 |
環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001が日本工業規格として正式発行された1996年10月以降、わが国でも認証取得への動きがにわかに強まってきています。とりわけ97年12月、地球温暖化防止を目的とした国際会議(COP3)が京都で開催されたのを機に世間でも環境問題への関心が一気に高まったこともあって、ISO14001の取得件数はここ数年うなぎ登りの勢いです。
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グリーン調達への流れが急。14001取得要請の動きも活発 |
というのも、ISO14001では“調達する物品やサービスが環境にどのような影響を与えているかを調査”するとともに、“取引先や契約先に環境に関する必要事項を伝達すべし”との要求項目が規格として設けられているからです。つまり、ISO14001では自社としての取り組みだけでなく、周辺を巻き込んで環境問題を推進することを奨励しているのです。取引先に求める必要事項については個々の企業に任されており、強制的なものでもありませんが、どんな要求にせよ、受注企業は伝達事項に対して何らかの改善措置をとらざるを得ません。中小製造業が環境マネジメントシステムの構築に積極的な姿勢を見せているのもこのような動向を受けてのものであり、環境保全への動きを活発化させているのです。
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経営システムを改善する効果。善循環サイクルも浸透 |
このように、産業界に限らず、ISO14001を取得する企業・団体が増えるにつれ、グリーン調達が大きなうねりとして確実な広がりを見せており、一大ムーブメントとしてのグリーン調達の包囲網のなかでは、規模の大小を問わず、自らの変革なしには生き残っていけないとの認識を強く持つべきでしょう。前述したとおり、ISO14001を取得する中小製造業が増えてきているのも、そうした危機感の表れでもあるのです。
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大企業の真似は失敗の元。トップ自らの積極的な姿勢が必要。 |
このように、ISO14001への取り組みは従来の殻を打ち破り、一歩先行する経営手法を確立させるなど、中小製造業にとっても数多くのメリットをもたらすことは間違いありません。あるいはそこまでいかなくとも、ISO14001に準じて何らかの環境マネジメントシステムを構築していくことの意義は少なくありません。そこで最後に、中小製造業の皆さんに対して、マネジメント構築に向けての要諦をいくつか提示したいとおもいます。
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