著名者インタビュー | |
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| 2001/7 |
近未来ロボットの開発状況と展望
〜産業用ロボットは新たな形でさらに進化〜 |
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東京工業大学 大学院理工学研究科教授 広瀬 茂男氏 |
東京工業大学大学院理工学研究科教授。機械宇宙システム専攻。工学博士。 昭和22年東京生まれ。昭和46年横浜国立大学工学部機械工学科卒。昭和51年東京工業大学博士課程制御工学専攻修了後、同大学機械物理工学科助手、助教授を経て平成4年同大学機械物理工学科教授に。平成12年より現職。 一貫してロボットの創造設計学に従事し、日本機械学会創立100周年記念事業功労賞(平成9年)、日本ロボット学会実用化技術賞(平成12年)など、数々の受賞歴を持つ。 主な著作に「自然とロボット<第2巻/ヘビ>」(桐原書店)「生物機械工学」(工業調査会)「ロボット工学」(掌華房)など。 |
近未来ロボットの開発状況と展望 〜産業用ロボットは新たな形でさらに進化〜 |
1970年代から80年代にかけてわが国は産業用ロボットの開発技術で目覚しい発展をとげ、製造現場でも多くの産業用ロボットが稼働するようになりました。現在では、産業用ロボットも我々の身近な存在として違和感なく受け入れられていますが、最近になってまた新たな展開が見え始めました。ソニーの犬型ロボットAIBOや本田技研工業が開発した二足歩行人間型ロボットASIMOなどの登場です。これらが予想以上に好反応を示したことから、新規に市場参入してくる企業も多く、「ロボットは21世紀にパソコンを上回る巨大マーケットになる」(本田技研工業)との見方もあるほどです。 こうした流れのなか、近未来ロボットはどのような形で発展を遂げていくのか、それが産業用ロボットとしてどのように適用されるのか、今回はその状況と今後の展望について考察してみることにします。
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世界をリードする技術を確立し、花形産業として脚光浴びる |
わが国のロボット技術は、1960年代初め頃に米国で実用化されたティーチングプレイバック方式のシステムを取り入れることで、目覚ましい発展を遂げました。なかでも製造業の生産現場における進展ぶりは目覚ましく、80年代には花形産業としても脚光を浴びる存在となったのはご存知のとおりです。 アーム式を核としたいわゆる産業用ロボットは電子制御やCPU、メモリーなど時代の先端技術をどんどん投入することで著しく進化し、人間に代わってさまざまな仕事をこなしていくこととなります。単純繰り返し作業から危険作業、さらには学習機能を備えた汎用組立機械としてアセンブリーラインでも活用されるようになっていったのです。その結果、製造業の生産性を飛躍的に向上させる原動力ともなりました。 こうして日本産業界の発展とともに、優れた技術で実用化された産業用ロボットも類のない勢いで普及、現在でも製造現場には欠かせない重要な機能として幅広く活用されています。 ところが最近では、こうした産業用目的とは別の形のロボット開発も盛んになってきています。顕著な例がマスコミでも大きく取り上げられたソニーの犬型ロボットAIBOや本田技研工業の二足歩行のヒューマノイドASIMOです。これらは基本的にはエンターテイメント用に開発されたもので、実用という点ではいまのところ全く役に立ちませんが、“いやし”が非常に重要な時代のキーワードだとすると、一つの産業として化ける可能性も否定できません。
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ロボットレスロボットの開発は隆盛の一途 |
こうした期待感からか、三菱重工業でも「生きた化石」といわれるシーラカンスと姿形や動きがそっくりの魚型ロボットの開発に着手、体長70cm、重さ12kgで、大型水槽のなかを自由に泳ぎ回る機能を持たせるとしています。完成のあかつきには、福井県敦賀市にオープン予定の科学館「アクアトム」に納入されるようです。
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極限状況での作業可能なロボットの開発も |
このように、従来の概念ではとらえられないさまざまな形のロボットの研究開発が盛んになってきていますが、実用的な有益性という側面からすると、特に今後の重要なテーマの一つとなるのが、人間が足を踏み入れられない危険地帯などで力を発揮する極限作業用ロボットの開発でしょう。
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最先端の技術導入で産業用ロボットもさらに進化 |
このように、近未来型ロボットの一つの形として極限作業用ロボットの開発も着々と進んでいる状況で、産業としての将来性も明るいといえるでしょう。ロボットがさまざまな技術の組み合わせであることを考えれば、制御、CPU、メモリー、センサー、アクチュエーターといった個別技術の最近の進歩ぶりも大いに頼もしいところです。動力源として理想的な燃料電池が実用化されるようになると、なおさらのこと市場の可能性は広がるでしょう。
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