4. 曲げ圧力

1.曲げ圧力
2.圧力表
3.圧力表の応用

【1.曲げ圧力】
プレスブレーキで、作業が可能かどうか能力的に知りたいとき、また、新たに機種を選ぶときなどに、曲げ圧力を知ることは非常に重要なことです。

[曲げ圧力計算式]

       L × t 2 × σb
P =C×――――――― 
           V


 P : V曲げに必要な加圧力(トン)
 C : 補正係数
 L : 曲げ長さ(m)
 t : 板厚(mm)
σb : 材料の引っ張り強さ(抗張力)(kg/mm2
補正係数のC の値はV/t により異なり、C の真の値がつかみきれていないことが、この計算式を不確実にしています。
作業のたびに加圧力を計算していては繁雑で能率の面からも好ましくありません。
この為、一般的には曲げ圧力表が利用されています。ただし、曲げ圧力計算式により以下の4つの関係は理解しておかなければなりません。

(1) 圧力はV幅に反比例する。
(2) 圧力は曲げ長さに比例する。
(3) 圧力は板厚の2乗に比例する。
(4) 圧力は引張り強さに比例する。

 

【2.圧力表】

圧力表から材料の板厚と曲げの内側半径が決まっていると、
 (1) その材料1 m を曲げるのに必要な圧力
 (2) 曲げに使用する金型のV幅
 (3) 曲げ得る最小フランジ長さ
を読み取ることができます

圧力表を表示 (曲げ圧力:表1)


曲げ方法 : ボトミング90°曲げ
材質    : 一般構造用圧延鋼材SS 400
       (引張り強さ 45 〜50 kg/mm
F      : 1m当たりの圧力(表中の太字)
i r      : 内側曲げ半径
b      : 最小フランジ長
V      : ダイのV幅
t       : 板厚

縦軸に材料の板厚(t)が、横軸は上から順番に、V幅(V)、最小フランジ寸法(b)、内側曲げ半径(i r)となっています。
材料の板厚と内側曲げ半径が決まると、次の事を知ることができます。
(1)曲げに使う金型のV幅
(2)曲げうる最小のフランジ長さ
(3)材料1mを曲げるのに必要なトン数

【3.圧力表の応用】
圧力表を表示 (曲げ圧力:表1)

[演習(1)]
SS 400 t1.6V=10 曲げ長さ2mの場合の圧力を圧力表から求めましょう。
圧力表より、t1.6V=10 の時のm当たりの所要トン数は、
17ton
圧力は曲げ長さに比例するので
17 ton/m × 2m =34ton


[演習(2)]
SS 400 t1.6 V=8 の場合のm当たりの圧力を圧力表から求めましょう。
圧力表よりV=10の場合の圧力は17ton/m。圧力はV幅に反比例するので、
            10
17 (ton/m) × ――― ≒ 22 (ton/m)
             8


[演習(3)]
SUS304 (引張り強さ60s/mm )t2.0 V=12 の場合のm当たりの圧力を圧力表から求めましょう。
(SS400 引張り強さ45s/mm とする。)
圧力表よりSS400 t 2.0 V=12 の場合の圧力は22ton/m。圧力は引張り強さに比例するので、
            60
22 (ton/m) × ――― ≒30 (ton)
            45

[演習(4)]
SUS304 (引張り強さ60s/mm )t1.5 V=10 の場合のm当たりの圧力を圧力表から求めましょう。
(SS400引張り強さ 45s/mm とする。)
圧力表よりSS400 t1.4 V=10の場合の圧力は13ton/m。
圧力は引張り強さに比例し、板厚の2 乗に比例するので、
13 (ton/m) ×  60
―――
 45
×  1.5
―――
 1.4
 2 ≒ 20 (ton)